日本人にコロナ感染の死者が少ないワケは?(その2) ー世界に冠たる日本の皆保険制度ー
日本の医療保険制度の充実度は世界のトップレベルを誇っており、W H Oから世界最高の評価を得ています。すべての国民がいつでもどこでも、一部負担金だけで高い水準の治療を平等に受けることができるという制度を評価してのものです。歯科の領域においても一部の治療を除いては、おおむね保険の範囲でカバーされています。私たち日本人はこの制度に慣れてしまって当然のように思いがちですが、諸外国にすべてこのような制度があるわけではありません。たとえば、イギリス・ドイツ・フランス・イタリア・スペイン・カナダといった国にも公的保険制度がありますが、いずれも自由に病院を選べないなどの制約があります。またアメリカ合衆国には基本的に公的保険制度がなく、自己負担で民間の保険会社と契約しておくか、無保険で過ごすことになります。アメリカの無保険者は約4000万人に達しますが、もし病気になっても高額な支払いが不可能な場合は受診を断念せざるを得ません。アメリカで新型コロナウィルス感染症による死者が爆発的に増加した一因として、こういった事情が指摘されています。同じく多数の死者が出たイタリアやスペインでも、政府の医療費抑制策によって生じた医療崩壊が一因ではないかとの論評が出ています。私たちは我が国の皆保険制度の大切さについて再認識し、将来も維持していけるように考えていきたいものです。 院長
2020年04月08日 10:57