インフルエンザウイルスと口腔ケア
今年もインフルエンザウイルス感染症が流行する季節がやってきます。特に今シーズンは新型コロナウイルス感染症との同時流行の可能性が懸念されています。インフルエンザは毎年日本国内で人口の8%に当たる約1000万人が感染し、3000人以上が死亡します。また小児も約100人が死亡します。一方、新型コロナの感染者数は9月上旬時点でインフルエンザの100分の1以下、死者数は約3分の1、20歳以下の死亡例はゼロとなっています。この統計結果を見る限り、新型コロナ以上にインフルエンザに対する対策が大切であることがわかります。以前にも述べたように、インフルエンザの予防にはワクチン接種、うがいと手洗いの徹底、マスクの装着、十分な休養などの他に口腔ケアの励行が非常に重要です。ある歯科大学の微生物学教室の研究では、歯科衛生士による口腔ケアを徹底的に実施した集団は、行わなかった集団に比べてインフルエンザの発症数が約10分の1と大きく抑制できたという結果が出ています。この調査結果の根拠として、ウイルスがヒト細胞へ侵入したり増殖したりする際にそれを手助けするプロテアーゼやN A抗原という酵素を、実は口腔内の細菌が産生していることが証明されています。こういった事実から、毎日のブラッシングと歯科医院での定期的なクリーニングを励行し、細菌を排除して口腔内を清潔に保っておくことが大切であることがわかりますね。 院長
2020年09月03日 20:37