アルツハイマー病と歯周病菌の深い関係
一方九州大学歯学部の研究チームが、これまで脳内だけで産生されるとされてきたアミロイドβが、実は全身の臓器で作られていることを発見しました。さらに全身の臓器で産生される過程で、歯周病菌であるジンジバリス菌が深く関与していることも発見しました。つまりジンジバリス菌が血流に乗って長期的に体内をめぐり、さまざまな臓器で慢性炎症を引き起こすことによって全身でアミロイドβが産生され、それが脳に運ばれて蓄積していく仕組みを解明したのです。これらの一連の研究成果は国内外から注目されています。
冒頭に挙げた認知症の決定的な治療薬が私たちの間で普及するのはまだ先のことかもしれません。しかし歯周病菌とアルツハイマー病の深い関係性が解明されてきたことを考えると、日常の口腔ケアが非常に大切であることがわかります。新薬の開発と普及をただ待つだけではなく、毎日の丁寧なブラッシングと同時に定期的な歯科医院での口腔ケアを継続し、歯周病とともに認知症の予防にもつなげていただきたいと思います。 院長
2021年06月13日 17:37