日本のある口腔ケア用品メーカーL社が昨年3月に「舌みがき」について調査したところ、毎日舌みがきを行っている人は全体の29.9%という結果でした。毎日歯をみがく人は96.4%である一方で、舌を清掃する人はかなり少ないということがわかりました。
舌の表面には舌苔(ぜったい)と呼ばれる白い苔(こけ)状のかたまりが付着します。これは細菌やはがれ落ちた舌の粘膜や食べかすなどが固まってくっついたものです。舌の表面には舌乳頭(ぜつにゅうとう)という細かい突起が無数にあり、これらのすき間にたまったものが細菌が繁殖するすみかになっているのです。
舌苔は口臭の大きな原因であると言われています。口臭が気になる人にはぜひ舌みがきをお勧めします。また舌苔の細菌や歯の周りの細菌を放置しておくと、新型コロナウイルス感染症の重症化リスクが高くなるという調査報告が世界各国から出されています。これはウイルスで炎症が起こった肺に細菌が2次感染し重症化してしまうためと考えられます。
舌みがきには専用の舌ブラシを使用します。強い力で行わず優しくみがいてください。歯ブラシは毛が硬く舌のデリケートな粘膜を傷つけしまいますので使用は控えてください。舌ブラシの使い方は奥から手前方向にだけ動かします。前後に往復させると細菌を咽頭(のどの奥)のほうへ送り込んでしまう恐れがあるためです。
新型コロナウイルスによるパンデミック発生以来、マスクをつける機会が増えたことやストレスの増加、人と話す機会が減っていることなどから人々の口腔環境が変化していることが推察されます。歯周のケアはもちろん、舌苔のケアも取り入れていただけたらと思います。院長
2021年12月04日 12:49